株式会社グリーンマンBLOG

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蛎太郎の独り言・牡蠣(カキ)のおはなし

カキ殻を仕事にする訳ですから、カキの事も知らなければ・・・
そんな想いから、全国の産地へ行きまくると同時にカキについて調べまくりました。すると今まで知らなかった事が沢山解ってきました。

日本のカキの生産量は、年間約20万トンその内、広島県が半分の約10万トン。
我が故郷、宮城は、全国第2位の約5万トンの生産をしています。

宮城県沖は、暖流と寒流がぶつかり合う豊かな漁場です。
リアス式を形成する湾内は、沢山の生き物を育む母なる海です。

特筆すべきは、石巻湾の形状でしょう。
湾の開口部は南向きに位置し、プランクトンの発生する夏、南風が吹き、北上川、鳴瀬川、吉田川の3本の河川が流入する三陸きっての富裕な漁場です。

この形状が、様々な生き物たちの栄養の源となるプランクトンには、大きく影響します。
毎年、夏になると強い南風が吹き、これが絶妙な汽水域でプランクトン滞留させる神様が与えてくれた奇跡の湾なのです。

東北地方を南北に走る奥羽山脈は、世界遺産にも登録された白神山地に代表される落葉広葉樹群の濃い緑に包まれています。(関東以西は常緑広葉樹林)
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山と海は対極に位置付けられがちですが、
実は互いに大きな影響力を持ちます。

秋になると一斉に落葉した広葉樹は、土中の様々なミネラルと融合しながら腐葉土としてミネラル分が成熟されていきます。
ファイル 10-2.jpg

地下を脈々と流れた養分は、やがて湾に辿り着きます。
これらがカキを含め生態系の源とも言えるプランクトンのエサとなるのです。

漁師さん達が、雨の多い年はカキの出来が良いと言うのも、これと繋がるのでしょう。

リアス式海岸、流入する川、森の豊かさ、日本地図を見てこのキーワドで形成する場所は、決まって魚介類が旨く、街も繁栄しているのが解ります。

石巻港、塩釜港には、一年を通じ様々な魚種が並びますので、僕は幼い頃から魚介類には目がありません。

一口にカキと言っても真カキ・平カキ・丸カキ・岩カキと種類は様々です。

宮城県には、多くのカキ場が存在します。
どの様な違いがあるのか?殻の行方は?

好奇心旺盛な僕は、それらを一つずつ全て回ってみました。各地での漁師さん達へのヒアリングが、一番の近道だと考えたからです。

基本的に質問は2つ・・・
①殻の行方は?
②県内で一番旨いと思うカキ場は?

①については、後ほど詳しく書きますが、カキ殻処理については皆さん共通して困っている事が解りました。

また、②について興味深い事に気付きました。
大抵の漁師さんは、②の質問をすると、決まって

「うちのカキが一番だな!」

計ったように同じ答です。(笑)

「じゃあ、2番目に旨いのは?」

「やっぱ、鳴瀬かな?」

この答が圧倒的に多かったのです。

始めから一番だと主張する人も多くいました。
鳴瀬とは、石巻湾の南側に位置する漁港の名前です。

なぜ鳴瀬なの?

どうしても知りたい!何か理由がある筈だ!

聞いて聞いて聞きまくり、答が見つかりました。

「場所がイイんだよ!」

「鳴瀬川と吉田川が近いだろ!」

「海流が抜群なんだよ!」

「鳴瀬はシンコ(一年モノ)だからな・・・
 日本中探してもシンコは、何箇所もないよ!」

通常、カキは2年モノ、3年モノが一般的です。それほど成長が遅い生き物なのです。

それに比べ、鳴瀬産はシンコが獲れる。
やはり立地の優位性なのか・・・

早速、鳴瀬に行きヒアリングの開始です。
ある漁師さんが、忙しい作業の中、手を止めて教えてくれました。

「全ての答えは、森と川だよ!」

漁師さん達のなかでは、全て周知の事実だったのです。

その頃には、県内のカキ場を回っていると、顔見知りの漁師さんが増えてきました。

「また来たのか?頑張れよ~!持って行くか?」

お土産でカキを頂きます。
ある日は、各所で3つも4つも・・・(総重量4kg・笑)

スタッフの提案で食べ比べしてみる事に・・・

「違うよね~!」
「うん、絶対違うよ!」

浜毎に確実に味が違うのです。
育った環境により明確な違いに驚きました。
何キロも離れてないのに・・・

オイスターバーで食べ比べセットの如く違いは歴然です。

内海(うちうみ)でいつ頃まで育てたか?
外洋で育てたモノのか?

自然界は不思議です。