僕は、自分の目で確かめた以外は信じません。
土地を見て、地主本人に会い、権利書を確認する。
不動産業界で生き抜く上で、自然と身についた
自己防衛本能なのでしょう。
トラブルが起きた時、人のせいにしても
何の解決にも繋がりませんし、
自分自身が納得した事であれば、
後悔しないからです。
その頃の僕は、合理的に物事を進める事を‘美’としていました。
元来、好奇心旺盛な性格の僕は「カキ殻肥料」で作られた
美味しい青果物を食べる毎に、肥料・また
農業の世界に興味が膨らんできたのです。
美味しい果物達に触発された僕は、半年間をかけ週末の度、
東北地方の「カキ殻肥料」を使っている
生産者の方々を尋ね歩き始めました。
福島県のもも・山形県のさくらんぼ・秋田県のすいか・
ぶどうの生産者等々、多くの方々にお会いし、
実際の生の声を聞き歩きました。
僕にとって生産者の方達との触れ合いは、
毎回新鮮な異文化交流でした。
知らない単語の連続にメモは手放せず、
何度も話しを中断して頂きながらのヒヤリングは、
皆さんに大変ご迷惑をお掛けしました。
「カキ殻肥料」の特徴や効能を教えて頂きながら、
年間を通じ土作り、比較栽培を全国各所で様々な作物を
育苗から定植、やがて収穫までの一連の流れの
作業をお手伝いしながら見せて頂きました。
生産者の方からは、
「カキ殻はイイよ~!見てみろ!根の張りが違うんだ!」
との声に後押しされた日々でした。
実際、比較栽培をしてみると
明らかに根の張りの違いが見られました。
また、糖度の向上は勿論、日持ちが良くなる等、
驚きの連続です。
僕にとっての先生は、生産者の方々です。
授業は夜な夜な、時には大勢で、時にはサシで、
夜が明けるまで酒を酌み交わした事も数知れず・・・
農家の実情、生産者の思い、世代交代の悩み、
流通システムの実情、お困り事、長男の悩み、次男の悩み、
等々をお聞きしました。
聞けば聞くほど、現在の日本経済に置ける
農業の不遇な位置付けを知ると共に、
植物の神秘の世界に・・・
えっ?なぜ?どうして?の連続、
理解出来ない事ばかりでした。
日本の農業界は長らく経験と勘に頼ってきたと言います。
今、流通している「カキ殻肥料」と、
この「蛎太郎」の違いは?
なぜこんなにも違うの?
謎は深まるばかりだ・・・